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日々の雑感と勉強の記録

令和2年予備試験論文式試験の成績と雑感

予備試験論文式試験の成績通知が届きました。

 

1. 成績

順位ランク (事前の予想)

憲法 D (D)

行政 B (E)

民法 B (C)

商法 D (E)

民訴 A (A)

刑法 E (C)

刑訴 D (C)

般教 A (D)

実務 A (A)

総合得点 250点程度

順位 200位程度

 

2. 雑感

行政法と刑法をのぞき、おおむね予想通りの成績でした。

以下科目ごとに考察していきます。


(1) 公法系科目 憲法 D、行政法 B

 憲法については、予想通りの成績でした。禁止・命令・処罰という制約に関わる重要箇所を思い切り読み間違えてしまうというミスが致命的なものとなってしまったのだと思います。当たり前ですが問題文をよく読むことが大切だと思いました。加えて、問題文事案中の個別事情を評価しきれなかったのも反省すべき点だと思います。言うまでもなく、憲法においては審査基準の定立から具体的な審査まで事実を丁寧に評価していくことが大切だと思うので、もう少し演習量を増やしてそれらを適切に行えるようにした方がよいと感じました。

 行政法については、望外の評価でした。設問1は附款を検討してから結局行政契約であることを短く書いて終わってしまい、設問2についても処分性の検討の中で重要な条文を落としてしまったため、設問1がマイナー論点であることを考慮してもせいぜいDくらいかなと考えていました。結果Bだったので、受験生全体として行政法の勉強が進んでいない人が多かったのかもしれません。この科目については、つくづく過去問をやりこむことが大切だなと感じました。同じ論点が繰り返し出題されますし、行政法分野全体に妥当する大原則に対する理解を深めることができれば、それを応用して様々な問題に対応することができそうです。それらをブラッシュアップするには問題演習、特に過去問演習が一番でしょう。

 

(2) 民事系科目 民法 B、商法 D、民訴 A

 民事系は、ほぼ予想通りの成績でした。

 まず民法ですが、何を問われていたのかよくわからなかったというのが率直な感想でした。昨年までは、現場での利益衡量を行わせるようなかなり思考重視の問題でしたが、今年は面白みがなくなったというか、かなり毛色が違ったように思います。設問1は思考力が求められる問題であるとも言えそうですが、ほぼ同様の事案についてすでに判例があるところした。

 本問については、知識の正確さに差はあれど、ほとんどの人が設問2で詐害行為取消と債権者代位を摘示できているようなので、事実上設問1で勝負がついているのではないでしょか。私は現場思考で判例の射程を論じましたが、それが評価されたのかなあと思っています。そうすると、やはり思考力重視であるということには変わりなさそうですが、判例学習の必要性・重要性は以前よりも高まってきているのかもしれません。

 商法については、直接取引の任務懈怠の推定規定を落としたこと、設問2がほぼ白紙であったことなどから納得の評価でした。予備試験終了後に判例百選と事例で考える会社法を読んでかなり自信がついてきたところなので、司法試験ではA評価を取りたいと思います。

 民事訴訟法についてはAを確信していました。判例百選を徹底して読み込んだのがよい評価に繋がったように思います。判例百選さえ読み込めば、予備試験の民訴については確実にAが取れると思うので、予備試験受験生には大変おすすめです。

(3) 刑事系科目 刑法 E、刑訴 D

 刑法については、予想評価と実際の評価が大きくことなりました。ただ思い返せば各論点で肌理の荒い処理をしてしまっていましたし、受験生全体のレベルも高い科目ではあるので、この評価なのも致し方ないかなと思います。予備試験受験段階では刑法がようやく理解出来始めていたかなというところだったので、ある意味で過渡期だったのかなとも思います。最近ようやく得意科目といえるようになってきたようにも思うので、司法試験ではAを取りたいです。

 刑訴は、一事不再理というまったく勉強していなかった分野が出てしまったため、この評価です。問題点を分析して食らいつくことはできたので、そこはよかったのかなと思います。この科目と行政法から得た教訓は、出題可能性が高くない分野も捨ててはいけないということです。試験後古江本と百選を読み込むことでようやく全体的に理解度を上げることができたように思います。

 

(4) 実務基礎 A、一般教養 A

 まず実務基礎ですが、改めてコスパの良い科目だなと思いました。この科目でAを取ることで合格推定が働くとよく耳にしますが、本当にその通りだと思います。今回もこの科目に救われました。受験生全体として対策が追いついていない科目であり、また差がつきやすい科目でもあると思いますので、今後受験される方は力を入れて対策することをおすすめします。

 一般教養については、よくわかりません。ただ一つ言えることがあるとすれば、様々な解答筋が想定されているにもかかわらず画一的な採点という要請がある以上、採点者側としてもある程度形式面を重視した採点しかできないのではないかということです。そうすると、問いに答えることや字数制限を守ることなど、設問の指示に徹底的に従うことが大切なのではないかと思います。

(5) 全体をふまえて

 判例学習の重要性を強く感じたということに尽きると思います。特に行政法民法民訴、刑法、刑訴については判例をベースに学習していたとした人はよい評価が得られたのではないでしょうか。予備試験終了後に全科目の判例百選を読んでから改めて予備試験の過去問を分析してみましたが、行政法民法を除くほとんどの科目は百選を学習の主軸に据えることで対応できるように感じました。

 「予備試験も司法試験も結局は基本的な知識を問う問題ばかりである」というのはよく耳にする話ですし、実際採点実感等にもそのような指摘があります。しかし、この言葉の真に意味するところは、決してただ基本問題が解ければよいということではなく、基本的知識を適切に運用する能力を身に着けるべきであるということなのではないでしょうか。そうすると、結局は基本的な概念や判例の理解を深めていくという王道の勉強法を取ることが、地味なようで最も安定して合格に近くことができる方法なのかもしれません。

 そろそろ終わります。今回の試験の反省や教訓も踏まえ、口述式試験、司法試験も頑張りたいと思います。