EscApiSmEr’s room

日々の雑感と勉強の記録

令和2年予備試験論文式試験 憲法 答案構成

答案分量は3頁。時間は70分(検討15分、解答55分)

 

1保障

尊重(判例)vs保障

現代のSNS社会の発信の前提となる知る自由に資するものとして報道・前提としての取材の重要性が高まっていることを強調し、保障されていると考えるべきと主張


2制約

制約vs制度構築の理論(判例補足意見)

戸別訪問禁止の伊藤正己補足意見を引っ張り出す。選挙ルール論などの制度構築の理論は、明文上・性質上立法裁量が広い特殊な文脈でのみ妥当するとし、純然たる表現的行為であるから射程が及ばないとして制約ありと認定。


制約なしvs制約あり

「禁止」「命令・処罰」と分かれており、「禁止」は制約に当たるか怪しいが、報道機関からすればどこに捜査が入ったか必ずしも把握できず、あらゆる取材行為等に「命令・処罰」が課される危険があるという萎縮効果があるから「禁止」にも「命令・処罰」に類する効果があるとして制約肯定

↑??????????????


3正当化

権利の重要性

(自明すぎてあっさり重要と言ってしまった記憶がある。取材は表現そのものではないためもう少し踏み込むべきだったか。それとも保障レベルで少し話を展開しているのでセーフか。)


内容中立規制(判例)vs内容規制

形式的には内容中立規制だが、承諾ない限りあらゆる犯罪被害者等に関する取材が不可能になり、内容規制の実質があるから制約は強いと認定


制約の強度は上記の通り「命令・処罰」を見るべきであり、「命令」がなされると確実に「処罰」がなされる仕組みになっているから制約は強いと認定

 


→厳格審査基準


目的審査でメディアスクラムによる犯罪被害者等の生活の平穏&プライバシー権表現の自由を比較衡量→◯


公表や勧告という代替措置があり、メディアの取材や報道は性質上国民の批判の下に晒してあるべき姿を見出していく方が合理的であり手段必要性を欠く


違憲

 

感触:A→C〜F

・「禁止」に違反すれば「命令」「処罰」、「同意」があればOKという仕組みを盛大に読み間違えて答案が明後日の方向に行ってしまったことに見返して気づいた。その部分を除けば一応議論としては成り立っているがこれが原因で評価を思い切り下げられても文句は言えない。

・ただ善意解釈してもらえれば、あるいは「何言ってんだこいつ」と思って制約の一部を趣旨不明として読み飛ばしてもらえれば、Cくらいはもらえるかもしれない。いずれにせよ致命的なミスである。

・保障レベル・制約レベル・制約態様に関する議論をするよう要求されていたように思う。上記領域の議論を反対の見解に触れずにあっさりスキップした人は多いと思うので、その議論に踏み込んだのは評価してほしい。

・制約対象(取材等のそれぞれ)毎に検討を加えるべきだった。プロクルステスの寝台答案になってしまった。ただこれは塾等の模範答案を読んでも検討している人は少なかった。A答案の要件とはならないだろう(そもそも憲法については殊にA答案の要件など存在しないと思うが。)

・目的審査はもう少し詳細な検討を加えるべきだった。プライバシー権の内容は一概に定義できないので、もう少し具体的内容に着目して比較考量を展開すべきだった。