EscApiSmEr’s room

日々の雑感と勉強の記録

予備試験論文式試験の戦略案

R2予備試験を受験した際の反省を踏まえて、予備論文の戦略案を考えました。
合格可能性を高めるためにどういった戦略を取るべきかというもので、あくまでざっくりしたものです。これから受験される方の参考になれば幸いです。

 

1. 実務基礎で確実にAを取る。
 実務基礎の配点は基本科目2科目分であり、ここでAを取ることができると一気に合格に近づきます。毎年同じような問題が出題されるため対策が安定しやすく、また、勉強時間もあまりかかりません。十分に対策できていない受験生が多いため、きちんと対策すればAを取るのは難しくないと思います。

 

2. 基本科目は平均的な答案(C〜D)を揃えればよいと考える。
 予備論文は全科目でCを取れれば合格できる試験です。実務基礎でAを取ることができれば、他の科目はC〜Dを揃えれば合格できることになります。大まかな検討方針さえ間違えなければ、Dには収まるという相場感なので、難しくはないと思います。

 

3. あらゆる分野・論点に妥当する思考手順・論述方法を体得する。
 問題の所在の分析方法や三段論法といったことです。予備論文受験段階で、あらゆる分野・論点を網羅的に理解するということは多くの人にとっては難しいと思います。平均的な答案(C〜D)を揃えるためにも、何が出題されても最低限の論述をするための方法論を確立・体得しておくことは重要です。


以上です。参考までに、私の基本7科目の評価はDBBDADEというひどいものでしたが、それでも200位前後(合格者の真ん中あたり)で合格できました。

 

何かしらの形で受験生の方の参考になれば幸いです。

escapismer1997.hatenablog.com

 

令和3年司法試験4日目雑感

・最終日

・朝無事に起きられて安堵。民法の条文素読を2周し、過去問で間違えた問題を2周して試験会場へ。

民法。消去法で解答にたどり着ける問題が多かったため、なんだかんだなんとかなったのではないかという感触だったが不安もあった。結果は64点。確実に正誤判断できる肢を増やしていくことと、制度趣旨や利益衡量を踏まえて正誤判断を行うことの大切さを実感した。

憲法。うーんいつも通り。「公の支配」など統治はよくわからない問題が多かったが、諦めずに思考・読解したことで最低限の点数は確保できた。37点。

・刑法。細かい犯罪に関する知識を問う問題は少なく、やはり傾向が変わっているのだなということを感じた。『事例から刑法を考える』に鍛えられていたおかげで学説理解や思考を要求する問題にはうまく対応できた。4点分マークミスして42点。

・無事全ての試験を受けきることができて安堵。「解放感」と呼べるほど爽快な感情は湧かなかった。「ようやく長いトンネルを抜けた...」という言葉が真っ先に出てきた。

令和3年司法試験3日目雑感

・まずは刑法。確実に共犯と同時傷害の特例が出ると踏んで対策を行う。ドンピシャで的中。しかし、設問1の共犯に関わる問題で論理矛盾以前の初学者のようなミスを犯してしまい総崩れ。おそらく設問1は60点ほどの配点があると思われますが、個々の検討事項はあてはめも手厚く書いていてよいものの、体系レベルで崩壊してしまったので、丁の罪責を除きほとんど点数が入っていないかもしれません。設問2は同時傷害の特例に関する見解対立を準備しておいたため難なく解答できました。予想論点が的中した時こそ慎重に、ということですね。

・刑訴法は、設問1では令状による差押えに関わる基本的な論点が出題されたため、供述の信用性を丁寧に検討し、手続に関する条文(110条、114条2項等)を正確に引き、あてはめを手厚く書くことを意識しました。設問2についても、犯行計画メモに関わる基本的な問題が出題されたため、周りの受験生のレベル感を意識して、犯行計画メモであることの認定を事実を拾って丁寧に行い、伝聞証拠該当性、伝聞例外についても三段論法を守って丁寧に検討しました。

・刑法で大失敗して落胆していましたが、周りの受験生も相当悩んでいたことが分かり、また、友人から切り替えていこうと励まされたことで、なんとか気持ちを切り替えることができました。

令和3年司法試験2日目雑感

・6時半起床。朝は体が重い。低血圧なので仕方なし。

会社法百選を一周してから会場へ。

・まずは民法。設問1で即時取得を成立させたり、消して否定したりを繰り返して死亡。35点しか配点がないのに3ページ目の真ん中まで来てしまい時間もない。設問2は有償特約付きの準委任とすぐにわかったが、最初の請求が何なのかまったく分からず。解除の将来効の条文だけ引いて肯定して次へ。次の請求は「やむを得ずにした」といえるかを手厚く当てはめる。配点も低く時間がないので次へ。設問3は簡単そうに見えるがよくわからない問題。こういう時は絶対何か見落としてるんだよなと思いながらもとりあえず条文を引きまくる。まあ爆死。地球滅亡。一科目くらいくれてやるという気持ちで次の準備へ。

・商法は結構できた気がする。設問1は多額の借財の有過失の判断を1ページくらい使って事実を使い切ってあてはめた。順番がぐちゃぐちゃになったが許してほしい。間接取引はざっくり書いて次へ。設問2は実質的株主云々だなとすぐに検討がついたのでひたすらあてはめ。うん、書き負けてはいないはず。時間経過の事情があったので信義則も書いた。設問3は1つ目が典型論点だったのですぐに書く。2つめはよくわからず。349条5項を引いてきて、実質的にはF=CだからEに権限行使させなあかんねんみたいな話を書く。

・最後は民訴。設問1の既判力の議論があっているかで命運が決まる(たぶん大丈夫?)。誘導に従ってあてはめは手厚く書いた。設問2は途中までよかったが最後に血迷って結論を間違えた(民法の知識...)。配点低いので気にしない。設問3は時機に遅れた攻撃防御方法のあてはめを厚めに書いた。訴訟状態帰属効の射程外しは正当化根拠から書けたので自信あり。

民法が爆死した分を商法と民訴で埋め合わせて結果トントンという感じでした...

・今日はかなりたくさん斜線を引いた。

令和3年司法試験1日目雑感

・試験本番になると本当に集中できる。普段本当に集中が続かないので集中できていること自体が楽しい。

・経済法は第一問はまあまあ書けたはず。第二問は拘束条件付取引と私的独占にしたが拘束条件付取引がハズレてたら死亡。需要の代替性に関する記述があったので競争減殺効果であることは間違いないはず。

憲法の規制①は絶対に出ないと思っていた集会の自由。審査基準定立の過程はかなり手厚く検討。法令にツッコミどころが多すぎて手段審査がごちゃったが多分セーフ。集団暴徒化論を論じていた判例を援用したかったがどの判例か思い出せなかった。相当性審査で敵対的聴衆の法理を書く。違憲。規制②はよくわからなかったが沈黙の自由(19条)をチョイス。合憲。全体を通して猿払、泉佐野、麹町、君が代起立斉唱、オウム解散命令の全5個の判例を引用して終了(まさか麹町事件を引用することになるとは....)。よく分からないので忘却。

行政法は張っていた原告適格が出なくて絶望。問題文の内容が一読してよくわからなかったので難しい問題と判断して長考。40分経過、流石に書き出す。1問目の処分性は難しいと感じた&ここで考え込んで配点の高い設問2の時間切れが最悪のリスクだと感じたので、1ページに満たない分量で切り上げて設問1(2)へ。訴えの利益は全く勉強していなかったが判例をざっくり思い出してまた1ページ満たさず書いて設問2へ。ここで残り40分。字がぐちゃぐちゃになりながらもなんとか書き切る。条文→趣旨の流れはなんとか示したので耐えていてほしい。設問2の違法事由②の元判例はローの授業で扱っていた気がしたが忘れてしまったので誘導に従って規範定立。

・緊張はあまりしなかった。

・マスクで息がつらい。

突然思いついたこと

忘れないようにとりあえず書きなぐる。

 

1. 法律問題は、何らかの行為・措置・制度によって何らかの利益が侵害され、または侵害されるおそれがあって生じる。つまり、考慮すべき何らかの利益が存在する。

 他方、それらの行為等も何らかの必要があって行われる。つまり、行為等を行うことによって実現すべき利益が存在する。何らの利益が存在しない行為等であれば、そもそも法律問題として俎上に乗せられることはないだろう。

 つまり、結局はそのような対立する利益をどのように衡量するか、ということが問題となるのが法律問題なのである。

 

2. 裁判所は、立法された法律等・法律等に基づいてなされた措置等の適法性・請求の認否を判断するのだから、法律問題は常に特定の条文との関係で生じる。

 そして、その条文は、立法者がその制度・概念の構築によって侵害される利益と得られる利益を想定して、何らかの趣旨・目的の下立法されている。

 そうだとすれば、司法試験においては、どの科目においても、そのような対立利益を条文の趣旨を通して探り、衡量することが求められているということになる。

 

3. ではどうやって衡量するか。

 ①「XであればOK、XでないならNG」という衡量済みの規範を立てるか、②「必要かつ相当」という個別的な衡量を行うかである。

 確立された判例や学説が存在するなら①による必要がある。そうでない未知の問題については②を立てればよい。

 しかし、①も②も究極的には利益衡量なのだから、①についても、忘れてしまった場合には最悪②を立てれば間違いではないだろう。

 

4. 科目毎の違い

 民事系、特に民事実体法は、条文においてすでに利益衡量がなされた上で立法されている場合が多い。だから条文が特に重要であるし、その趣旨を理解することも何より重要である。もっとも、私的自治が妥当する領域では、既存の条文等により利益衡量が確定された点を除けば契約当事者による利益衡量が許されるから、契約内容の解釈が重要となる。

 公法系は、憲法については条文において綿密な衡量がなされておらず、個別事情に応じた衡量に委ねられている。だから、例えば「表現の自由に対する規制」といっても、その具体的な内容を根拠法令や事実関係を基に確定する必要がある。行政法は、既知の法令は出題されない。だから、現場で法令を分析しその趣旨を探る必要がある。そしてそれが求められている。

 刑事系は、刑法においては確立された解釈がある。上記①を覚え、適用するだけの科目である。刑事訴訟法は、分野によるが捜査法は②による個別事情に応じた検討が求められている。

 

5. 検討の前提となる条文、定義、要件、効果、そして制度の趣旨といった基本的なことが結局大切なのではないか、ということになる。

 

 こういうことを考えてみると、いずれの科目においても利益衡量が重要で、その方法が科目によって違うだけという気がしてくる。

この点を意識しながら準備し、問題とも向き合いたい。

答案のイメージを失わないように

司法試験は「現場で考えて文章で表現する」試験なので、知識偏重に陥るのはいいことがないなと思います。かといって知識面で妥協してよいわけではないので、インプットに多くの時間を割かざるを得ず、答案を書く時間は取れてあと1,2回かなという状況です。

そこで、起案の代替策として今日から毎日模範答案を読もうと思います。

あくまで時間がない中での代替手段なので、科目特有の書き方、ナンバリングの立て方、問題提起・あてはめの表現の仕方等に着目して、分野・論点を問わず妥当する点を押さえることができればよしという位置付けです。

 

残り時間は少ないですが、現場で最大限の力を発揮できるように、今できることを淡々とこなしていきたいと思います。